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南部鉄瓶から思うこと
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随分前の話になってしまいますが、メゾン・エ・オブジェの会場では、
東洋趣味的なオブジェや展示が多く、ヨーロッパの東洋趣味は衰えて
いないなと思いました。
この南部鉄瓶も、果たして西洋の方がこの良さがわかるのだろうかと思いましたが、
色彩やフォルムの面では随分とデザインや展示の有効な脇役として活躍していました。
モダンなモノトーンの家具のなかに、鉄という異質なマテリアルと曲線がとても新鮮で、
オブジェとしては色のコントラストもマッチしているのです。

           そしてもう一つの東洋趣味的オブジェ。
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からくり人形が縫い物をしていました。
ゆっくりと動くこのからくり人形は,一昔、ヨーロッパが想像していた
「東洋」そのものを表しているようです。中国ともいえず,ベトナムともいえず・・・
なんだかわからないけど「東洋」なんです。

視点の位置が変わると同じ言葉でも、全く意味が違ってくることがあります。
以前、ドイツに住んでいる頃、日本では「エスニック」と言う言葉が大流行り。
お料理でも、デザイン系でも、エスニックのアクセントがどこにでも見られました。

丁度その頃は、ベルリンの壁が壊れ、イデオロギーのくくりから解き放されたことで
押さえられいた、民族的な目覚めがあったと同時に、急にエスニックという言葉が
流行し、自分の民族にとどまらず、他の民族の特徴を意識するようになりました。
大変興味深い紋様だとか,色彩,デザイン,料理等が主流です。

ハンブルクの陶器屋さんで買い物をしていた時に「Ethono(エトノ)」という
言葉がしきりに使われていました。インテリアのショールムでもそいう言葉が
あふれています。私達がいうところエスニックと言う意味なのですが、
目に入るのは、アフリカやアラブ等の部族などが掘った置きものや、
家具や飾り物。「えっ,これがエスニック???」と質問してみました。

私はこのとき自分の視野の露出が開いていないことを痛感。
ヨーロッパにいれば「エスニック」はほぼアフリカなどを指し、
日本にいれば「エスニック」とはほぼ東南アジアなど指し、
知らず知らずにイメージングしているのだと気がつきました。
それは、自分が立っているところはどこなんだと一瞬はっと
思わせてくれる出来事でした。

それからいろいろ思いを巡らせて、じゃあ果たして大航海時代に
東洋に行きついた人達はどう感じたのだろうかと・・・・
あまりに遠いところなので「地の果て」の「異生物」に近い
感覚を持っただろうと・・・・

「エスニック」は比較的近くて少しずつでも情報が入って来る程度の
遠さにある異文化なのだと言う距離感を持っていた方があたりかなと
思いました。そして少しだけ上からものを見ている…つまり近代化が
少し遅れて、私達が忘れてしまっているものがまだ残っている世界と
いう捉え方を潜在的に知らず知らずにしていることにも気がつく。

今ヨーロッパは、回転寿司はじめ日本の一般の人々が日常に触れている
ものが商業的な形で浸透している。そこには日本人の精神文化から
それらを理解している人はほとんどいないでしょう。
昔のヨーロッパ人が東洋に憧れて取り入れてきた文化のことから
知ろうとしてくれる人、もっと深く侘び寂びにいたるまでの理解に
及んでくれる人が、どれほどいるのでしょうか。

日本の精神文化を深く追求したドイツ人哲学者のオイゲン・ヘリゲル
などのように私達日本人以上に日本人の精神文化を探求した人達に
恥じないように私達自身も,その美しさに目覚めたい・・・・

そんなことを南部鉄瓶を眺めながら思いを巡らしてしまいました。

そこで、家の裏に置いてあったおじいちゃん愛用だった古い南部鉄瓶。
最近錆を少しだけ落として眺めていますが,今年の冬は火鉢にも
火を入れてみようと思います。

メゾン・エ・オブジェで感じた「エスニック感」でした。

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by olivemomo | 2008-09-10 12:43 | Comments(8)