惚れ込んでしまったもの(その1)
おおよそ、女性の趣味とは思えないと言われましたが、「惚れちゃったんだからしょうがないでしょ・・・」と見つめながら,ニンマリしていたあの頃。
b0116413_1074996.gif小遣いを少しずつ貯めながら、ドイツ、主にベルリンとハンブルクで集めた、Zeiss Ikon (ツァイス イコン)を中心とした7台ですが、これが限界でした。でもそれでいいんです。一つ一つに思い出がありますが、このカメラ達にも、一つ一つの歴史があるだろうし、それらを受け止めて行けるだけの「うつわ」というか「力量」というものもない私ですから。彼らにしてみればこんなに遠くの国まで運ばれて来るなんて思いもよらなかったと思います。 

「ベルリンの空襲のときに地下で保管されていたんだろうね、どうだいこの美しさは・・」と行って説明してくれたおじさんの顔や、一生懸命に値切った時の思い出が、この蛇腹を開ける毎に蘇って来ます。

タイマーをかけてシャッターを押すと、「ジー・・・パッシャ」の音。パシャではなく、パッシャ。蛇腹を開ける時のスプリングの音も、今のメカにはもうない音なのです。重厚感と言うか、何とも言えない重みと、精巧さが感じられる振動が手に伝わって来ます。

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上の写真は、私の一番のお気に入り、Zeiss Ikon Ikonta B、Nr.521/16 Carl Zeiss Jena. レンズはTessar1:3.5 f=75mm, シャッターCompur-Rapid、フィルムは6x6を使用。1937年頃の製造で、以後このてのカメラのお手本となっていったようなカメラです。そしていまだに新品のようなスプリング部分のメッキの美しさはドイツのメッキの技術を物語っています。Jenaは旧東ドイツの有名なCarl Zeissの工場があったところで、もうその工場は存在していません。

まだ、被写界深度を理解したてで、Nikon EM をもって仕事で行った国々を撮りまくっていたあの頃、銀座のNikonサロンにも飾られたことがあったけれど、いつしか「写真に撮ったら面白いぞ」というものだけを追うようになっている自分に気がついて、ぷっつりやめてしまった時期がありました。

それにしても、この時空を超えて来たようなカメラを見つめていると、ものづくりの基本を教えられているような気もします。しっかりとした部材で、精巧さには妥協を許さない技術、きっと今よりも手作業が多かったに違いありません。「本物」はやはり、いつまでもすばらしさがあせないし、飽きられない・・・。

ふと、時間が止まってしまうような・・・そんなひとときです。
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by olivemomo | 2007-07-21 10:41 | 趣味
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